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先日、高松と岡山に行った。目的はすてきな建築を見る、だ。とても楽しく、いろいろ考えることの多かった旅だった。

いちばん「いまのうち見とかなきゃ!」とあせっていたのは、香川県立体育館だ。とにかくすごい建築なのでまずは写真をずらっとご覧いただこう。今回は写真がすごく多いのでそのつもりでよろしくお願いいたします。


正面から見たところ。すごいよねこれ!


駅から歩いて行ったんだけど、これが見えたときは「おおー!」って声出ちゃった。

裏側。といっても対称になっているので、正面と同じ。舟のよう。


真横から。真ん中にあるのは雨樋で、下の池に水が流れ込んでいた。大雨の日に見てみたい。残念ながらこのようにフェンスで覆われている。


正面エントランスから上を見上げた様子。この「ザ・コンクリートの構造!」って力強さがかっこいい。


あと、入り口にあるこの窓口の東屋のかたちかわいい。

ちょっと見たことない建築ですよね、これ。高松市の方々はみんな知ってると思うけど、東京の人間だと建築好き以外にはあまり知られていないだろう。

でもこれ、実はあの代々木体育館と同じ年に同じ建築家によって建てられたものなのだ。つまり東京オリンピックの年、1964年。丹下健三によるものだ。このふたつの体育館は兄弟というわけだ。それにしても丹下健三、同じ年に少なくとも2つも体育館を手がけてたってすごい。当時の売れっ子ぶりと時代の勢いを感じる。

で、なぜあせっていたのかというと、この香川県立体育館は昨年2014年9月で閉館していて、現在取り壊すかどうか微妙な状況にあるという。これだけかっこいい建築となると、当然保存運動なども行われているが、予断を許さない状況だ。


■で、香川で丹下健三というと、実は香川県庁も彼の手による建築なのだ。これがまたかっこいい。もちろん見に行った。


これも実物を見るのははじめてだった。角を曲がって目に入ったとき、体育館と同じように「おおー!」と声を上げた。


1958年完成。まるで木を組んでつくったかのようなかくかくした様子がすてき。

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柱で一層持ち上げられていて、そこが車寄せとエントランスになっている


「いかにも市庁舎っぽい」形式だが、むしろこれがお手本になったのではないか。


真横から。


持ち上げられた1階部分にある階段たちがすごくよかった。この柱なしの浮遊感! かっこいい。うちにもほしい。


中庭のようになっている部分の風景。ふつうに居心地よかった。

丹下作品の中でも傑作との評価がが高いこの建築。実際に見てみると「確かに」と思った。

市庁舎で丹下健三といえば東京都庁もそうなんだけど、あれはあんまりすきじゃないなあ。いいなあ、香川県。


■さて、香川のあとは岡山へ。こちらの県庁舎もそれはそれはすてきなのだ。


かっこいい!


なにがかっこいいって、まずこの窓の連続具合と亀甲のようなパネルのかわいらしさ。あと、縦に走る細いラインも素敵だし、屋上部分のマッシブさもいい。プラモデルとかほしい。

今にしてみれば低層の部類に属するだろうが、建った1957年当時はさぞかし圧倒的な存在感を醸していただろう。横に長いのもかっこいい。窓などのファサードのデザインが横長感を強調しつつ、でも威圧的ではない。って、なんだかすごくそれっぽい評ですが、とにかくぼくは魅入られた、ってことです。

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あと、なんといってもこのエントランスの上から伸びる不思議なデッキですよ。


このデッキ、建物から飛び出したはいいけど、ぐるっとまわって戻ってくるだけなんですよ。


建物入り口まで行って振り返ると、こんな。デッキにはとくに降りる階段とかついていない。

このデッキ、たぶん50年代にはまわりに高い建物もあまりなく、いわば展望バルコニー的に存在したのではないか、と思いました。詳しい人いらっしゃったら教えてください。なんにせよかっこいい。

残念なのは、さっきの香川県庁舎もそうだったんだけど、訪ねたのが休日だったので閉まっていて中には入れなかったこと。せっかく市庁舎で出入りできるのに。くやしい。また行きます。


香川県庁と同じように、ぐいと持ち上げられていてこのように1階部分は奥まで通り抜けられるようになっている。デッキの下をずいっと奥に行くと、そのまま中庭に出る。


中庭に面して入り口から逆方向に、駐車場などがある地下に続く階段が口を開けている。この配置といい、この階段の手すりの造形といい、すごくすてき。うちにもほしい。

このすてきな建物を設計したのは前川國男。さきほどの丹下健三は前川國男の設計事務所に在籍していたことがあるので、いわば師匠筋だ。戦後の建築をリードした巨匠だ。さっきも書いたけど、こういう「いかにも市庁舎」ってつくりはこの時代に彼らによってつくられたんだなあ、と思った。

ちなみに、前川國男は今はなき高層団地のさきがけ「晴海高層アパート」もつくっている。ぼくが撮り続けている高層団地の祖は実はモダニズム建築の第一人者によってデザインされたのだ。ぼくが団地的に物心ついたときはすでに取り壊されていた晴海高層アパート。あまりにくやしいので名団地を集めた団地ペーパークラフト本「団地さん」に収録しました。URさんから設計図見せてもらったときは大興奮でしたよ。

時代をときめく巨匠建築家たちが、先進的で実験的な設計でもって腕をふるう、というのは、おそらく市庁舎が戦後民主主義の象徴だったからだろう。これらのいわゆるモダニズム建築は未来だったのだなあ、としみじみ思った。団地も然り。それにしても未来を今も使っている香川県と岡山県はえらいぞ、と思った。ひとつ今後日本の市庁舎建築めぐりをちゃんとやろう、と意を新たにした次第だ。

市庁舎だけでなく、ほかにもすてき建築を見てきたんだけど、長くなったので、以下次回へ。有名建築だけがすてきじゃないぞ。