高架下建築』なんて本を出してもいるぼくですが、首都圏の高架下建築って、いまどんどん撤去・建て替えが進んでいてあせっております。きっと数年経ったら「昔は鉄道高架下には古びた建物が並んでてね…」って昔話になると思う。

なので、今のうちに見ておこう、と思うわけです。同好の士と。ということで昨年2012年に「高架下建築鑑賞散歩」と銘打ってツアーを行いました。今回はその様子をお伝えしたい。(そして、ほんとに見納めなので、もう一回またやります。詳細は最後に)

さて、おそらく日本で一番高架下建築を愛でて回っているぼくだけど、決して詳しいわけではない。「かわいいよねー」って言ってるだけなので。一方この「高架下建築鑑賞散歩」は、なんとNHK文化センターの主催なので(まさかこういうちゃんとしたところがこういうマニアックな催しを行うようになるとは…いい時代になったなー)、もうちょっとしっかりと解説したほうがいいのではないか。と思って、自分がしっかりするのではなく、しっかりした人を助っ人に頼んだ。

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↑構造などについて的確な解説を行ってくれた八馬さん

助っ人は長年一緒に工場見に行ったりジャンクション見に行ったりしている友人で、大学の先生である八馬さん。すっかり他力本願でぼくはいつもどおりのほほんとしてました。てへっ☆ありがとう!八馬さん。

■浅草橋〜秋葉原駅間がすごい!

コースは東京で高架下建築と言ったらこれしかない!総武線から中央線の下を、浅草橋駅スタートで新橋までを歩くというもの。べつにこのツアーに参加しなくても誰でもいつでも同じ道のりを歩くことができるんだけど、やっぱり同好の士と一緒のほうが気楽だし楽しめるよね。

このコース、特に最初の浅草橋から秋葉原の間が知る人ぞ知るの「高架下建築黄金地帯」なのだ。たとえば冒頭のタイトル画像、これ、全体はこんなになってる。

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↑アーチ部に道路が横断してて、その下にある高架下建築がこんなことに!キュート!(画像クリックで大きなものをご覧いただけます)
なんだかすごいよね!高架下建築の魅力はこういうたくましさというか一生懸命さというか、そういう所にあると思う。これはその代表格だ。

秋葉原駅から浅草橋方面に少し行っただけの所なんだけど、あまり知られていない。もったいない。

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↑浅草橋駅前の、高架下建築好きには有名な箇所。かわいい。(画像クリックで大きなものをご覧いただけます)

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↑こんなふうになんともダイナミックなセルフビルド感あふれるものも。浅草橋ってほんとすごい。(画像クリックで大きなものをご覧いただけます)

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↑思い思いに思いもよらぬ部分に食いつく参加者のみなさん。

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↑秋葉原駅に近づくと、どんどん高架の高さが高くなって、あるところからアーチになる。これがさっきの冒頭のところ。で、その手前に気になるものが。

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↑八馬さんによると、これは「落橋防止」だそうだ。地震などで、万が一桁が落ちるような事態のときそれを防ぐのだとか。それにしてもこの無骨さはどうだ。かわいらしい。

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↑アーチの部分のいくつかは例によって高架下建築が撤去されていて…

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↑クラックの入っている位置が示されたチョークの線が模様のようになってて、みんなそれに夢中。

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↑以前見た時にはすでにこうやって建築がなくなって、その跡がモンドリアンの絵画のようになっていたここは…(画像クリックで大きなものをご覧いただけます)

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↑プレハブが建ってました。高架の補強工事の現場事務所かな?

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↑ここはまだ残ってる。

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↑全体はこんな。窓の配置がふしぎキュート。サッシは木製だし、かなり古いと見た。(画像クリックで大きなものをご覧いただけます)

いやー、ほんとただ高架下建築見てるだけなんだけど、ほんと楽しいなー。

で、このとき、うれしいことがありました。

■リノベーションした高架下建築の中を見せてもらった!

浅草橋からほど近い倉庫群が並ぶあたりをわいわいと歩いていたら、その様子を見て声をかけてきた方がいらっしゃいました。

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↑以前見た時と違った高架下建築が建っていて、高架の下にきっちりと屋根ができててなんかおもしろいなー、と思って見ていたら…

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↑「なにをみんなで見てるの?」と聞かれたので「高架下建築です!」って答えたら「そんなに興味あるんだったら見ていく?」ということに。おおお!

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↑螺旋階段が!

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↑最近建て直したここを事務所にしている方でした。

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↑お言葉に甘えてどんどん内部を探検!

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↑みんな食いつき過ぎじゃないか

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↑ぼくもこういう高架下建築に事務所構えたい!と思った。

ここは「セカンド・ハーベスト・ジャパン」という組織の事務所でした。まだ十分食べられるのに、人の口に入らず廃棄されていく食料品を、様々な理由で食べるものがなくて困っている人たちへ融通する活動を行っている団体。中を見せてくれたのは、そのCEOのマクジルトン・チャールズさんでした。

高架下建築事務所も素敵だったけど、お話を聞いたら、そこで仕事をしている方々も素敵だったのだ!いやー、いい出会いでした。


■神田周辺の魅力的な高架下建築群は風前の灯火!

さて、歩を先に進めて神田の方へ。ここらへんには歴史あるかっこいい高架下建築があります。

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↑神田で一番の高架下建築はこの倉庫。この使い込まれた風合いはどうだ!(画像クリックで大きなものをご覧いただけます)

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↑みんなも「これはすごい!」と。

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↑そしてここ「今川小路」!「無人島にひとつだけ高架下建築を持って行けるとしたらどれにする?」っていう質問があったらまよわずここを持って行く。

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↑ちょっと前までこんなふうにいい感じの飲み屋街だったのだが、いまはもうほとんど営業していない。

このように神田はすごーくすてきな高架下建築鑑賞地帯なのだが、現在工事中の東北縦貫計画のために、つぎつぎとなくなっていっているのだ。むむう。

上の写真の2箇所も、風前の灯火。見に行くなら今だ!この記事読み終わったらすぐに神田へ!


■最後は「インターナショナルアーケード」で締め

さて、都合3時間ほど歩いただろうか。有楽町の高架下飲み屋街(ここはまだいっとき残るかなー)を経て、新橋手前の「インターナショナルアーケード」を最後にこの日はおしまい。

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↑有楽町駅からすぐのところにこういう不思議な空間がある。いいよねー、この飲み屋エリア。

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↑そしてその先が「インターナショナルアーケード」。日比谷周辺でここだけぽっかりと取り残されたようなミステリーゾーン。高架下ならではだと思う。

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↑こんな!

このインターナショナルアーケードについては、以前デイリーポータルZで記事にしたこともある。東京オリンピック開催を期して、未利用地であった高架下を、外貨獲得のため外国人観光客向け商店街にしたのが始まりだとか。だから「インターナショナル」なのだ。いまやどこにもインターナショナル感はないが。いや、インターナショナルっていう言葉自体がインターナショナル感があるか。いまは「グローバル」って言葉の方がはやってるし。


■最後のチャンスっぽいのでまたやります!

こうやって記事書いているだけでもそわそわしてくる。もうだいぶなくなってるんじゃないだろうか。有名建築と違って注目されないままなくなっていく浅草橋〜新橋間の高架下建築群。ほんと、今見とかなきゃ!ってことで、来る2013年4月6日(土)の14:00~17:00また開催します!

参加申し込みはこちら
←終了しました。たのしかったよ!

【追記】こんどは2013年10月5日(土)に「高架下建築トーク&さんぽ」と銘打って同じコースでやります。詳しくは→こちら